0423
これは私にとって特別な数字。
大学卒業後、1か月も経たないうちにスーツケース1つと
片道航空券を握りしめ日本を飛び出したのが4月23日。
成田空港で、スーツケースのロック解除キーを0423にセットした。
「これからどんな生活がわたしを待っているのだろう」
飛行機の中では、そんなわくわく感がず~っと止まらなかったのを
今でもハッキリ憶えている。
あの日からすべてが始まった。
わたしの人生で最良の決断。
それがこの22歳でヨーロッパへ渡ったことなのだ。
脳も体もまだまだ柔軟で、見知らぬ人へ対する心の壁も高くなく、あきれるほど多くの人と仲良しになった。
コルドンブルーの中級クラス卒業試験後
語学学校やコルドンブルー料理学校ではもちろんだが、旅先でもそうとうな数の国の人々と出会っている。
一人旅ばかりだったから、きっと相手も私に話しかけやすかったのだろう。
いまも友情の続いている友達が何人もいる。
コルドンブルーでフランス料理を学ぶことが目的だったのは確かだが、実は学校に通うのと同じくらいの日々をわたしは旅に費やした。
この留学は親の大反対を押し切ってのもので、欧州での生活はかなり質素。親に負担をかけないようにと、バイトバイトの連続でもあった。
そんなわけで、わたしの旅はいつも貧乏学生につきもののバックパッカーの冒険旅行。
情熱と好奇心の塊以外の何物でもなかったわたし。
いま振り返ると、かなり危ない目にも遭った。
驚くようなところにも泊まった。
行ってはいけない政情不安定な国にも行った。
(その時は危ないと感じていないところが若さゆえのすごいところ!・笑)
パリで暮らした15 区の街並み
日本に帰ってきてから多くの挫折、苦境、思わぬできごとにぶつかったけれどどうにかすべてを乗り切り、いま初志貫徹で料理を本業にしてこうして自分らしく元気に生きている。
板のようにではなく、柳のようにしなやかに。
飾らず自分らしく自然体で居る。
パリに暮らし、いっぱい旅をして、多くの価値観に出会い「日本の常識=世界の常識」ではないってことも体感した。
人にはそれぞれのバックグラウンドがあり考え方も違って当たり前。
だから、すべては無理だけどできるだけいろいろな人を否定せず受け入れていこう。
こういった「たった一度の人生を自分らしく笑って生きるための術」こそが、私が渡欧して手に入れてきた一番の宝なのかもしれない。
「今わたしがここにこうしていられるのは、あなたのおかげ!」
欧州で出会ったすべて方々にお礼を言いたい。
そんな気分の0423新月の夜です。